研究概要 |
1)1992年4月より1995年2月現在までの自家及び同種培養表皮移植例は、98例となった。その内訳は自家培養表皮移植例23例、同種培養表皮75例である。我々は主として自家培養表皮、同種培養表皮を、新鮮熱傷、熱傷後瘢痕拘縮、慢性潰瘍の治療に用いている。 2)同種培養表皮の凍結保存は40例となり、すべての保存サンプルについてDNAを純化抽出し、PCR-RFLP法を用いたHLA抗原遺伝子のパターンよりHLAのタイピングを行った。 3)同種培養表皮移植後の組織片のDNAを検出し、HLAのパターンによりdonorの生着の期間、recipientに置き換わる時期を判定した結果、3カ月間は培養表皮が拒絶されることなく生着することがわかった。 4)同種培養表皮の保存法は、(1)段階的凍結法(-4℃→-20℃→-80℃→-135℃) (2)プログラミングフリーザ-による凍結法に加えて、(3)簡易法(-80℃ overnight-135℃)を行ったところ、6ケ月保存でも医薬80%のviabilityが得られた。この方法を用いることで凍結同種培養表皮は簡便に臨床応用が可能となった。 熱傷の治療では、新鮮同種培養表皮の治療効果と凍結同種培養表皮の治療効果に差はほとんどみられなかった。この結果から、今後凍結同種培養表皮移植は有用な治療法となると考えられた。また、凍結保存している同種培養表皮は感染症のcheck(HB,HCV,HIV,ATLA,その他細菌等)を全例行っており、安全性についても十分考慮している。 以上が、当該年度の研究の結果とまとめである。
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