Wister ratの眼球を摘出し、強角膜片を作製、免疫組織学的染色を施し、実質および上皮内の神神経whole mount標本で観察し、神経線維密度について定量的評価を試みた。非特異的神経マーカーとしneuro specific enolase(NSE)を、知覚神経マーカーとしてcalcitonin gene related peptide(CGRP)を、交感神経マーカーとしてtyrosine hydroxylase(TH)を夫々用いた。NSEとCGRPについては染色可神経は観察可能であったが、層角膜を用いたためバックグラウンドが高く、定量的観察は不可能であった。また抗体の浸透が不安定で結果も安定しなかった。 そこで実質神経の観察は断念し、EDTAを作用させて作製した上皮シートを用い、同様の免疫組織化学的染色を試みた。この標本では上皮内のNSEおよびCGRP線維の形態が詳細に観察された。しかし神経密度標本により大きくばらつくため、おなじく上皮シートをゴールドクロライド染色したものと比較検討したところ、今回の免疫組織化学的染色法では染色結果が安定せず、定量的観察には適しない事が判明した。 一方、上皮シートを用いたゴールドクロライド染色標本は、ホールマウント標本でみられた短い観察時間や浸透不良による染色結果の不安定などの欠点を持たず、上皮内の神経終末の定量的観察に適する事がわかった。 そこで現在は手術等の操作が容易なウサギやモルモットを用いて上皮内の神経終末の密度測定を行なっている。また並行して手術操作を加えた標本の観察も開始している。
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