研究課題/領域番号 |
06807141
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
福島 祥紘 新潟大学, 歯学部, 助教授 (00018631)
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研究分担者 |
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
鈴木 誠 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50107778)
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キーワード | 線維芽細胞成長因子 / PCNA / 唾液腺 / 唾液腺腫瘍 / 前癌病変 / 多形性腺腫 / 腺様嚢胞癌 / 粘表皮癌 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、本年度も同様に、以下の検索をおこない、唾液腺前癌病変の存在を示唆する病巣のあることを確認した。 (1)症例の収集:新潟大学歯学部口腔病理学教室、同歯学部附属病院臨床検査室、同医学部附属病院病理部に登録された過去29年間の病理組織検査ファイルから、大唾液腺および口腔粘膜小唾液腺に発生した、良性および悪性腫瘍症例をすべて抽出したところ、212例がえられた。 (2)病理組織学的再検討:全症例のヘマトキシリン・エオジン(H・E)染色標本を三人の病理医があらたにそれぞれ病理組織学的診断をおこない、その結果を相互照会して、最終的に統一した診断をくだすという作業をおこなって、全症例を新WHO分類によって診断した。同時に同一切片上の腫瘍胞巣周囲の正常唾液腺組織内を検鏡して、導管の増殖性変化をすべて記録したところ、良悪性にかかわらず、腫瘍周辺の唾液腺組織内に異型増殖形態をしめす導管がみられることが判明した。異型腺管の発現頻度は、多形性腫瘍24%、粘表皮癌21%、腺様嚢胞癌嚢胞癌5%で、このうち、小唾液腺発生例はそれぞれ82%、70%、53%と高頻度にみいだされた。 (3)免疫組織化学的染色:フォルマリン固定パラフィン包埋ブロックから、連続5ミクロン切片を作製し、各種特殊染色と、PTP法またはABC法を用いて酸性および塩基性線維芽細胞成長因子(aFGF,bFGF)、増殖細胞核抗原(PCNA)について免疫染色をおこなった。このうち、前項の異型増殖導管細胞のbFGFおよびPCNA免疫陽性が注目された。 唾液腺導管増殖性病変の評価:免疫染色によって顕視化された増殖性病変を連続切片のHE染色標本他で再検鏡したところ、これらを前癌(腫瘍)病変として評価しうると考えられた。したがって、唾液腺においても境界病変を経て、腫瘍化する可能性のあることが示唆された。
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