当研究では、BMPの作用機序を解明することを目的とし、mRNA Differential Display法を用いて、BMPを作用させた際に非常に早い段階で誘導され、BMPの作用をコントロールしている可能性のある遺伝子の解析を行なった。 BMPとしては、高純度リコンビナント標品として入手可能であったOP-1 (BMP-7) を用いた。OP-1に反応する細胞株の検索を行った結果、骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1および骨髄由来幹細胞株ST2が、OP-1に反応して骨芽細胞のマーカーであるアルカリフォスファターゼ活性が著明に上昇することがわかった。そこで、これらの細胞にOP-1を24時間作用させAGPC法を用いtotal RNAを調整した。Differential Display法に従い得られたcDNAを20種類の組合せのプライマーを用い^<35>SdATPの存在下にPCRを行った。これをシークエンスゲル上に電気泳動し、オートラジオグラフィー上でOP-1を作用させたものと、対照群とを比較、検討した。その結果、MC3T3-E1について66個、ST2について11個の明らかに差異を認めるDNAフラクメントが得られた。HC3T3-E1より得られたDNAフラクメントはサフクローニンクを行い、塩基配列の解析を行った。ユビキチン、SP-1など既知のシークエンステ-タと高いホモロジーを示すものが存在したが、多くのものは3′末端の200〜300塩基対のもので充分な解析はできなかった。また、これらについてノーザン解析を行ったが、多くのものは大きな差がなく、偽陽性である可能性が高かった。しかし、ST-2から得られたクローンのうち 2つは明らかな差異を認めた。そこで 現在このクローンのシークエンス解析を実行中である。
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