名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科に通医しているHIV感染者対して口腔症状の発現について調査するとともに、全唾液を採取してnested-PCRによりHIVプロウイルスDNAの検出を試みた。なお、対照として非感染者からも同様に唾液を採取した。その結果、CD4陽性リンパ球数が500/mm^3以上および200/mm^3未満のHIV感染者から採取した唾液からはプロウイルスDNAは検出されなかった。しかしながら、CD4陽性リンパ球数が500mm^3未満200/mm^3以上の群の57%からプロウイルスDNAが検出された。また、唾液中の血液の混入を潜血用試験紙を用いて調べた結果ではヘモグロビンが2.5mg/dl以上混入していた検体において高率でプロウイルスが検出された。しかしヘモグロビンの混入がそれ以下の唾液からはプロウイルスDNAは検出されなかった。 観察期間中、HIV関連口腔症状は口腔カンジダ症がわずかにみられたに過ぎなくプロウイルスDNAの検出との関係はないと思われた。現在、さらにHIV-RNA検出をPCRを用いて試みている。
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