研究概要 |
血小板造成を簡易に推し計る手段を確立する目的で、簡易かつ短時間で網血小板を測定する方法を研究開発した。 1.対象:正常人:60名および慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP):20例、再生不良性貧血:9例、骨髄異形成症候群(MDS):15例、急性骨髄性白血病:3例、化学療法後の骨髄抑制症例:5例である。 2.方法:EDTA-2K血 2mlをサンプルとした。この一部(200μl)を新たに共同開発した自動網血小板測定装置(東亜医用電子)に吸引させる。その中10μlの全血を直ちに2.6% auramine 0 溶液で染色し、混合液7.4μlを波長488nmのアルゴンレーザー光線に照射し、前方散乱光強度と蛍光強度を測定する。得られたデータを血小板のスキャッタグラムで表示し、Aultらの方法により、一定以上の蛍光強度の強い血小板数をカウントし、その%と実数を求め、網血小板とした。 結果:(1)測定精度;平均CVは約15%であり、ほぼ良好であった。また、直線性も良好であった。 (2)正常値;正常人の網血小板の標準域は、絶対数 :2.12±0.69×10^9/l、比率:0.98±0.41%であった。 (3)血液疾患における網血小板;網血小板の%はITP例20例すべて増加した。しかし、絶対数の増加はわずか25%でみられただけで、その他は正常域を示した。網血小板数は再生不良性貧血、急性骨髄性白血病、化学療法後の血小板減少症などで減少した。急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫,MDSなどでは絶対数は正常域にあった。ITPとMDS症例について、血小板減少の重症度との関係を検討したが、両疾患で血小板数の減少に伴い、網血小板%の増加がみられた。また、2例の白血病症例で、治療後の骨髄回復期における網血小板の変動を観察した。2例共、回復期に血小板数の増加する2-5日前に網血小板%の増加がみられた。 4.結語:今回研究開発した、網血小板測定は血液疾患における血小板造成を反映する有用な指標になりうる。
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