研究概要 |
血清を低温に放置した時に、補体価、CH50が低下する症例について検討したところ、全例がHCV抗体陽性であった(Ueda et al.,Ann.Clin.Biochem.,30;565-569,1993)。一方、クリオグロブリンを示す例でも、HCV抗体陽性であることが近年報告され、我々は補体低温活性化とクリオグロブリン形成との異同を検討した。HCV感染との関係は補体低温活性化の方が強かった。334例の検体中、28例が補体低温活性化を示し、そのうちの全例がHCV抗体陽性、クリオグロブリンは69例見いだされ、そのうち33例が陽性であった。クリオグロブリンと補体低温活性化の双方が認められたのは17例であった(Ueda et al.,Clin.Exp.Immunol.,投稿中)。又、このような血清のリウマチ因子陽性率が極めて高かった(80%以上)。 補体低温活性化の現象は抗原抗体複合体によるものと考えられ、抗体は抗原との結合力が弱く、抗原特異性が低く交差反応性を示す。クローンもモノあるいはオリゴクローンであろう。抗体はウィルスに対する抗体およびリウマチ因子を想定しているが、同一の抗体が異なった抗原と反応している可能性がある。これらの根拠を証明しつつあるが次年度に発表予定である。
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