研究概要 |
本研究は、在宅看護サービスを含む看護ケア提供サービスの日米比較研究のための基礎的研究として位置づけられた萌芽的研究である。本年度はその初年度として、測定用具の開発にあたった。日本版QLIを作成する上で、特に米国とわが国の文化的差異に留意した。本研究の進行と同時期に、私は共同研究者とともに、WHO QOL開発のための日本支部を開設し、データ収集にもあたったので、WHOの測定用具開発手法の実際を学ぶことができ、本研究に生かすことができた。すなわち、5〜7人のスモ-ルグループをつくり、複数のフォーカスグループにおける討議から、内容上の妥当性の保証と、質問項目および形式の選択を行うことができた。文献検討からは、Thomas M.Gillらの「A Critical Appraisal of the Quality of QOL Measurements」(JAMA,272(8)619-626,1994)にある、QOL測定用具の評価に用いた10の個別基準を参考にした。フィランズ博士のQLIは、この基準を8つ満たしてたので、残りの「全体的な評価を使用する」と、「補完的な事項を追加する」の2つを日本版の中へ加えることとした。イリノイ大学のフィランズ博士からは、引続きアドバイスを受けており、フォーカスグループにおける討議から出された疑問点については、個々に解説を頂いた。平成6年9月のQOL研究会(代表:萬代隆)では、国際QOL学会会長,Dr.Donald L.Patrick(ワシントン大学教授)から、特にQOLをどう測定するかについてご指導いただいた。以上、主観的QOLを測定しようとしているQLIの日本版の開発の経過であるが、信頼性および妥当性の検討までには至っていないので、研究組織の強化などを計り、次のステップへ進める計画である。
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