1.主観的リラックス度の評価 (1)根建・上里(1984)のRE尺度(The rating scale of emotion as defined in terms of relaxation)の4項目を用い、評価尺度1〜11を1〜10に修正し自己採点の質問票を作成し、69名を対象に基礎調査した結果、Cronbachα信頼性係数=0.80であり、主観的リラックス度として有用であることが示された。 (2)イメージ鮮明度の評価は、3-(3)課題イメージ内容に対応した6つのイメージ鮮明度を、QMI(Que-stinnare upon mental imagery)の評定方法を参考に、7件法による自己採点の質問表を作成した。 2.イメージ課題の作成 (1)河合の報告より、イメージのテーマを妊婦がイメージしやすい「胎児の肯定的なイメージ」にした。 (2)妊娠8〜37週の初、経妊婦29名を対象に、自由記述による胎児イメージを求め、延べ192イメージからCraleyとMullerの研究結果を参考に、9カテゴリー38項目の質問票を作成し、197名の妊婦対象に児イメージ(胎児愛着尺度)として調査した。因子分析の結果最終的に9因子が抽出され、構成尺度とした。 (3)9因子に基づき、河合らの翻訳による「イメジェリ」を参考に、反応命題を中心とした親しみやすく、胎児への愛着形成に有用と考えられる課題イメージを作成した(時間は自律訓練を含み10分程度)。 (4)(2)で作成した38項目の愛着尺度の簡易化を図るため、全体との相関性が高い10項目の愛着評定質問紙を作成した。 3.イメージ想起による精神生理学的反応の実験の進捗状況は、現在自律訓練だけによるコントロール群37名の妊婦の測定が終了した段階である。今後は2で作成したイメージを用い、実験群を測定する。なお生理学的指標は、妊婦側は心拍数と筋電図(前頭筋)を、胎児側は胎動数と心拍数をポリグラフシステム(妊婦側血圧はチャンネル数の関数でとりやめ)を用い、同時記録(4項目)している。分析にはMACLOVを用い、妊婦と胎児の心拍数の相互相関による分析などが試みれればと計画している。
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