超高齢化が急速に進むわが国では、退行期骨粗鬆症の予防および治療について大きな関心が寄せられている。このような現状の中、骨量減少をいち早く認識し、その減少を抑え・骨量をいかに維持して骨粗鬆症を予防していくかが重要である。一方で、21世紀のわが国を予測すれば、若年者の低骨密度を予防し、それを骨粗鬆症予防へと発展させることが今日的課題である。骨密度測定部位は、腰椎が一般的であるが、踵骨は、解剖学的にも腰椎と類似しており95%以上の海綿骨より成り、しかも荷重骨である。さらに踵骨は加齢による変形が少ないため骨減少の早期発見にも、安全性の点からも優れるものと思われる。そこで、若年女性を対象に、腰椎および踵骨骨密度測定を実施し、また活動量(運動の有無)の影響を詳細に追求するために生活時間の連続心拍数調査を行い、骨密度に対する活動量の影響を検討した。さらに、簡便で、安全性に優れたSXA法による踵骨骨密度の有用性も検討した。その結果、運動群は非運動群に比べ、腰椎および踵骨骨密度において有意な高値を示し、骨密度に対する活動量の影響が明らかとなった。また、腰椎および踵骨骨密度の間に強い正相関が示され、踵骨骨密度は腰椎骨密度とともに骨代謝の指標に有用であることが示唆された。さらに、活動量の詳細な把握を目的とした連続心拍数調査では、運動群を対照とし、練習の有無における生活時間の連続心拍数の比較検討を行い、また、その対象として非運動群について同様の調査を実施した。運動群対象者では、運動負荷により、最大および平均心拍数の明らかな高値が示され、活動量の把握が可能と考えられた。一方、運動群の練習のない日と、対照群との比較においては、最大および平均心拍数等の明らかな差は認められず、心肺機能の個人差が影響しているものと推察された。今後、各個人別の活動量を心拍数、体動などの波形から詳細に解析し検討する必要があると思われる。以上より若年者の低骨密度予防における活動量の重要性が示され、今後、若年者に対する健康管理の指標へと結びつけたい。
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