研究概要 |
・3年計画の最終年度であり,収集した資料を整理し報告することが重要な課題になるので,アラビア語写本を海外に注文することは控えた. ・日本学術振興会外国人特別研究員として招いていたDr.Benno van Dalenの滞在機関が延長されので,前年度に始めたイスラム天文学の写本研究を継続した.とくにク-シュヤ-ル・イブン・ラッバーンの天文学書al-Zij al-Jami^cの写本を精読し,その歴史的背景を探り,他の天文学書と比較するために,これまで収集した多くの写本を検討した. ・上記の研究と別途行っていた『回回暦』の研究の成果をまとめて,「第8回東アジア科学史国際会議」(8月,韓国ソウル)で発表した. ・Dr.van Dalenが一時帰国したときに,フランクフルト大学のD.King教授が所有するアラビア語写本のマイクロフィルムを借り受けてきたので,これのハードコピーを作り整理することにかなりの謝金を充てた. ・ク-シュヤ-ルの占星術書Madkhalのアラビア語写本校訂と英訳を中心とした論文によって,京都大学より文学博士の学位を得た.その序論の一部は別冊『報告書』に収録した. ・収集したアラビア語写本は,前回の科研費(昭和60年度報告)の分も合わせると200種類以上にもなった.これのカタログ作成の準備をはじめた.詳細は別冊『報告書』で述べるが,カタログのすべてをT_EX,LAT_EX,ArabT_EXなどによって作成し,データベースとして利用できるようにするための準備を大学院生の柏野俊明君に行ってもらった.今回の『報告書』に掲載した「リスト」はその前段階のものである.
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