本研究は平成6-7年度の継続研究である。研究の目的は、ストレス・マネジメント(以後SMと略す)教育(ストレスの概念学習、ストレスの気づき、リラクセーション訓練など)をストレス関連疾患の予防措置と捉え、将来学習教育に取り入れるための基礎資料を提供することであった。それゆえ、本研究は、従来のストレス関連研究のように単に因果関係を探ったりストレスそのものを特定するものではなく、一連の教育プログラムの評価に重点を置いた。本年度は、SM教育の効果を確認するため、小学3年生1クラス(実験1)および小学3年生2クラス(実験2)を対象にして2つの授業実験を行った。SM教育の評価に関しては、子ども達の不安の程度を精神的ストレスに対する反応と見なし、授業前後の変化からSM教育の効果を評価した。実験1では、SM教育が、国語や体育の授業と比較して、授業前から授業後に不安得点を大きく改善させた。この結果は、SM教育が他の授業と比較して、状態不安定減に効果があることを示している。また、女子は男子と比較して、身体を大きく使ったリラクゼーションの方法でその効果は大きかった。今後SMプログラムを作成する上で、性差を考慮する必要性が示唆された。実験2では、SM教育を行った2つのクラスが他の教科を行った1クラスよりも授業後の不安得点が有意に小さかった。これらの結果から、SM教育の効果を条件比較のみならず群間比較でも確認されたことになった。
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