本年度は昨年度までに得られた全実験参加者にさらに最適と思われる方法で予測値を代入する方法により、サンプル数を増やすことによるデータ全体の再分析を行った。それにより、推定値を代入する前と比較して約5分の1程度の、従来は排除せざるを得なかった実験参加者をデータ内に取り込むことができた。しかし、最終的には、選択された最適モデル、及び、最適モデルにおける各パラメーターの推定値も、推定値代入以前のものと比べて、顕著な差は発見されず、各モデルの安定性を間接的に確認する結果となった。この結果、データにおける推定の要素を排除し、多重共線性やLinear Dependencyなど、最適モデルのさらなる改良の可能性を探究する上で、潜在的障害となる要素を減少させるため、最終的結果としては推定値代入以前のものを使用することとした。 最終結果としては、提唱された検討された5つのモデルのうち、平等影響モデルとよぶ、学習者要因間に全て平等な相関リンクを認めるモデルが、他のモデル、特に、Krashenのモニター理論に基づいて、モニターをフォーマルが学習によって生まれる従属因子であるとするモデル群より、データに対して有意によい適合度を示した。これにより、学習者要因では、習得と学習の関係について、両者の間の関連を認めるインターフェース理論を支持する結果となった。また、モニターと他の要因、とりわけ、インフォーマルインプットの間の強い結合から、これまで提唱されたことがなかった、モニターからインプットへという、逆インターフェースの存在の可能性を示唆することとなった。
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