研究課題/領域番号 |
06808061
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研究機関 | 神戸女子薬科大学 |
研究代表者 |
菅原 一幸 神戸薬科大学, 薬学部・生化学教室, 教授 (60154449)
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研究分担者 |
山田 修平 神戸薬科大学, 薬学部・生化学教室, 助手 (70240017)
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キーワード | デルマタン硫酸 / コンドロイチン硫酸 / インター-α-トリプシンインヒビター / グリコサミノグリカン / 硫酸化 / ESI / MS / NMR |
研究概要 |
ウシ心臓大動脈のデルマタン硫酸とヒト血清中のインター-α-トリプシンインヒビターに結合したコンドロイチン4硫酸鎖のタンパク質への結合領域の構造を解析し、次のような新しい知見を得た。 (1)ウシ心大動脈よりプロテアーゼ処理などによってペプチドデルマタン硫酸を調製し、アルカリ還元してデルマタン硫酸鎖をペプチドから切り出した。こうして得たデルマタン硫酸鎖をコンドロイチナーゼABCで消化後、結合領域由来の主要な5種類の六糖成分を各種のクロマトグラフィーによって単離精製した。これらの構造を、各種の構造既知のオリゴ糖とのHPLC上での比較、各種分解酵素による消化物の分析、ESI/MS、500MHz^1H-NMRなどによって解析した結果、ΔHexA-GalNAc(4-sulfate)-IdoA-Gal-Gal-Xyl-ol-とΔHexA-GalNAc(4-sulfate)-IdoA-Gal(4-sulfate)-Gal-Xyo-olという糖鎖内部にIdoA残基を含む、従来報告のない構造を発見した。 (2)一方、ヒト血清中のインター-α-トリプシンインヒビターからコンドロイオン4硫酸を調製し、タンパク質への結合領域を六糖として単離精製し、同様に構造解析した結果、この結合領域はΔHexA-GalNAc(4-sulfate)-GlcA-Gal(4-sulfate)-Gal-Xyl-olという、珍しい硫酸化構造を有することが分かった。この構造は、以前にラット軟骨肉種組織やクジラ軟骨のコンドロイチン4硫酸にも見い出していたが、軟骨由来のコンドロイチン4硫酸の場合とは対照的に、このトリプシンインヒビターからはこの六糖しか見い出されず、結合領域が均一な構造としていることが分かり、この構造が、特別の生物学的な意義を有することが期待される。 これらの知見は、コンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸をはじめとする硫酸化グリコサミノグリカンの生合成における結合領域の硫酸化修飾の意義を検討する上で、極めて興味深い結果である。
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