Gプロテインに共役する膜7回貫通型受容体(7TMSR)の合成・移送と膜組み込み経路を解明する目的で、合成部位である核周部と膜上存在部である終末部が離れているニューロンをこれらの解析のモデルとして利用する研究を行った。エピトープ部位の異なる数種の抗体を保有しているGnRH受容体(GnRH‐R)をラット視床下部にて、カテコールアミンと共存しているため変性実験を併用しやすいエンドセリンA受容体(ET‐AR)をラット中脳黒質にて検索した。 (1)軸索輸送を阻害するコルヒチンを脳室内に投与したところ陽性ニューロンの細胞体の染色性は少し増強しただけであった。 (2)ゴルジ装置からの発芽を阻害するBrefeldin Aを投与しても、in vivo実験の可能な処置時間では変化は認められなかった。 (3)しかし、リガンド投与を併用すると、(1)の実験系では神経終末の染色性が低下するにもかかわらず、細胞体の染色性は少しでも増強していた。また(2)の実験系でも核周部ゴルジ野では染色性が少しでも増強するのに、それ以外の部位では染色性は減少した。 (4)60HDAを用いたカテコールアミンニューロンの変性実験では、マーカーとなるTH免疫活性の消失と同時にET‐ARは消失し、TH免疫活性の復活(一種の再生)とほぼ同時期にTHと同じパターンでET‐ARが再び認められるようになった。 以上のことを総合し、7TMSRはrET‐ゴルジ系でつくられ、膜に組み込まれた後、移送顆粒にのって移動し、細胞膜との融合によって細胞膜上にあらわれる、という最終結果を得た。
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