上頸神経節における神経伝達は、コリン作動性の中継伝達であることはすでに確立されている。その中継ニューロンである主細胞の神経突起の全貌を、そのシナプス構成とともに光顕・電顕観察によって明らかにした。すなわち、約10%の主細胞の樹状突起は、節前線維からの入力を受けるだけでなく、シナプス前要素として近傍の主細胞にシナプス出力していることが確認された。次に、この樹状突起-樹状突起シナプスがアドレナリン性であることを免疫電子顕微鏡法を用いて確認した。このアドレナリン性樹状突起-樹状突起シナプスは、中継伝達であるコリン性神経伝達を修飾する局所神経回路を形成すると解釈できた。電気生理学的には、抑制性シナプス後電位が観察されることを見い出し、α2拮抗薬であるヨヒンビンでこの電位が抑えられることが確認できた。すなわち、形態学的にもまた薬理生理学的にも交感神経節内に抑制性局所神経回路が存在することを明らかにした。そこで、次にこの抑制性樹状突起シナプスの形態的変化の様子をin vitro下で生きたままの状態で経時的に観察する方法を確立し、現在データを集積中である。
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