研究課題/領域番号 |
06808093
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
根岸 直樹 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30218268)
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研究分担者 |
副島 一孝 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00246589)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 培養細胞移植 / インテリジェント材料 / 感温性高分子 / ポリ(N-イソプロピル アクリルアミド) / コラーゲン型人工真皮 |
研究概要 |
創傷治癒過程において受傷後早期に血管新生を促すことは、創部への栄養供給を確保することのみならず、感染を防止するための免疫担当細胞の母床を形成する意味で重要である。そこで真皮層の細胞として血管内皮細胞(EC)を選択した。しかし、これまでECを直接移植してその血管新生効果を検討した報告はなかった。これは、間葉系由来のECに対して、その生理活性と細胞間結合を維持したまま回収するための適当な酵素が見あたらないためである。本研究では、熱応答性高分子(N-イソプロピル アクリルアミド鎖)を結合した培養基材(感温性ディッシュ)による低温細胞剥離法を用いて血管内皮細胞シートを得、組織構築された集合細胞の形態での移植を試みた。その正着過程を組織学的に検索することによってECの血管新生効果を検討している。 今年度は、感温性ディッシュ上でラット血管内皮細胞を培養し、37℃から5℃の低温にすることで細胞シートを剥離し、その移植による創傷治癒効果、特に血管新生効果をコラーゲン型人工真皮を用いて議論した。その結果、20日目の組織像では、人工真皮のみの対照群と血管内皮細胞移植群では血管の密度も異なり、その形態も対照群が直線的に上行し相互の交通に乏しい血管であるのに対して移植群では複雑に蛇行した血管網が形成されていた。すなわち、血管内皮細胞移植群は、人工真皮のみの対照群に比較して血管数の増加が有意に多かった。また、人工真皮の収縮も移植群の方が小さい傾向が窺われた。
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