1 ハチは規則正しく並んだ六角形の巣を作ることができる。本研究では、巣作りにおける触角の動作の観察と造形法の検討を行った。分析と検討のため、触角の動作に基づく巣作り行動と巣作りの過程をVTRを用いて記録した。巣作りにおいて触角は非常に活発に動き、その動作は、巣作りの各々の過程において、規則的、特徴的である。観察結果から、触角の特徴的な動作は、巣の形状を決定するために用いられており、「走性」と呼ばれている性質と深く関係していることがわかった。 2 ハチの造形方法を、コンピュータシミュレーションにより検討した。シミュレーションは、走性のような簡単な動作ルールと作られる形状の関係を確かめるために行われた。シミュレーション結果から、指標となる土台形状を基にして、走性のような単純な動作ルールにより、直線や曲線、六角形といった形状を作成できることを確認した。 3 ハチの巣作り行動に基づく造形ロボットを構築した。造形ロボットは、ハチの触角を模擬した2つのセンサーを備えており、これにより造形実験を行った。指標となる土台形状を基にして、センサーの動作と簡単な動作ルールに基づく造形ルールにより、土台形状を維持した造形や、異なる形状への作り変えができることを確認した。 4 基本的な形状をトレースすることのできる、造形のための最適なルールの獲得を試みた。ロボットの造形ルールはニューラルネットワークを用いて表現し、コンピュータシミュレーションにより、基本的な形状をトレースできるルールの獲得を行った。トレースのための最適なルールは遺伝的アルゴリズムを用いて学習、決定した。分析の結果、遺伝的操作により得られたルールは、走性と関係していることが示された。
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