第二年度(平成7年度)におけるこの研究計画・方法の実績概要を以下の2点にまとめる。 第一に、北米自由貿易地域へ既に進出している日本の自動車・同部品企業のリストアップと、それらのなかの主要な企業のこの地域における事業活動の様子を準垂直的産業内貿易・取引関係の視点から調査・研究をした。その調査の方法は日本の本社・海外事業部をはじめ、通商産業省、日本貿易振興会(ジェトロ)、日本関税協会、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、アメリカ自動車部品工業会等から資料・データの収集を試みた。 第二に、この研究・調査に関して今までの私の分析について日本の主要自動車アセンブリーメーカーのコンサルタントを得ることができた。あわせて、私はこれからの主要な自動車企業に日本の対北米自由貿易地域への自動車・同部品の輸出計画、ならびに同地域での今後の事業計画を聞く機会を持った。 今年度のこの調査・研究を進めるうえで、私は大きな課題が存在することに気付いた。それはこの研究課題がもともと1993年7月に始まった日本包括経済協議の優先分野として取り上げられることになっていたが、自動車・同部品産業における日米間の国際収支不均衡が予想以上に拡大し縮小する見込みが小さいことから、両国間の大きな政治問題となったことと、さらにはGATTウルグアイ・ラウンド交渉とのかかわりからヨーロッパ諸国との関係もますます深まり、グローバルでセンセティブな政治問題となった。とりわけ、1995年6月28日午後6時30分(ジュネ-ブ時間)に米通商代表部(USTR)代表カンター氏と橋本元通産大臣との間で合意された日米自動車協議前後は事態が極めて政治問題化しセンセティブで関係者からの資料収集・調査は至難であった。このため、調査・データ収集、およびその分析が極めて限られたものとならざるをえなかった。現在、その不足を補う研究を進めている。
|