日本エレクトロニクス企業のアジア向け直接投資は1993年度に13億7600万ドル、1994年には24億7600万ドルを計上した。 1993年以降の日本エレクトロニクスメーカーの東アジアでの事業展開は第1に主力量産品・高付加価値品の生産移管、第2に製品逆輸入・部品現地調達・部品輸入等国際調達の急速な拡大、第3に設計・開発の現地化の本格的な始動、第4に販路が現地、本国、第3国にバランスよく配分されるようになり、総じて多国籍企業としての性格のフルライナップ化したという4つの新たな特徴を示している。 こうした特徴の中で部品の現地調達の拡大については、下請け企業への東アジア現地進出要請が多くなり、またビジネスチャンスを求めて積極的に東アジアに進出する電子部品、電子デバイスメーカーがこの間に増大した。日本電子機械工業会加盟の電子部品、電子デバイスメーカーのアジア進出は1993年から1996年にかけて137件を数え、うち80件は中国向けであった。マレイシアに関しては日本からの直接投資は94年度に過去最高の204件を数えたが、投資金額は17.65億RMで、したがって1件当たりの投資金額は865万RMで、91年度の1件当たり投資金額の23.6%の規模にすぎない。このことはプレス、成形、切削等の部品の中小企業の進出が顕著であったことを示している。 日本エレクトロニクス企業の東アジアでのかかる事業展開はME技術の普及、東アジアの経済展開を促進するものの、山形県、日立、長野県、守口・門真といった電機産業の集積地に稼働率低下、受注単価の切り下げ、受注量の低下等深刻な影響を与えている。
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