(1)太陽系星雲の磁場に関する今までの計算では、林(1981)の太陽系星雲モデルが基礎になっていた。我々はOlivinなどのダストのPlanck mean opacityを用いて輻射平衡温度を求め直してみた。その結果、林(1981)のモデルに比べて低温になること、およびダストのサイズ分布によっては、透明であるにもかかわらず対流不安定性が生じる場合がある事がわかった。 (2)太陽系星雲において、ダストの沈殿や成長により磁場の散逸率がどのように変化するかを求めた。その結果、ダストの沈殿成長に伴い磁場の散逸率は減少することが分かった。しかしながら太陽系星雲の進化をもたらすほどの磁場の増幅に起こらないことも明らかになった。これは赤道面から離れた領域ではスケールハイトが小さいために磁場の散逸率が大きいこと、およびポロイダル磁場を維持するためには磁場の散逸時間がケプラー時間よりも長いだけでは不十分であり、ダイナモナンバーが十分大きいことが必要である事による。 (3)今までの磁場の散逸の計算に用いられていた電子と中性粒子の間の運動量輸送係数の実験値が最近改訂されたが、磁場の散逸率には大きな変化はないことが分かった。 (4)太陽系星雲などの渦粘性による進化をシミュレーションするためには、流体計算のコード開発が必要になる。その第一段階としてSPH法に粘性項を付加することに成功した。
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