研究概要 |
(1)太陽系星雲内でのダストの振る舞いを調べた.特にコンパウンド・コンドリュールと呼ばれる二つ以上のコンドリュールが合体したコンドリュールを詳しく観察した結果とダスト層の重力不安定性条件を基にして,コンドリュールの形成条件を明らかにした.コンドリュールは太陽系星雲内でダストが重力不安定になる限界密度程度に濃集した状況で形成されたこと,および現在の小惑星領域よりもずっと太陽に近い領域で形成された可能性が高いことがわかった.これによりコンドリュールの起源の磁気リコネクション説に対して制約条件が与えられ,太陽系星雲における磁場の振る舞いを知る上で重要な情報が得られると考えられる. (2)原始惑星系円盤内の分子の化学反応やダスト表面への凝結過程を計算した.特にCO分子の振る舞いを詳しく調べた.その結果,約20K以下(中心星から約200天文単位以遠)ではCOは大部分が凝結することがわかった.この結果は他の恒星の周りの原始惑星系星雲の観測結果を基にして,太陽系星雲の進化を研究する上で重要な情報を与えると考えられる. (3)宇宙塵の大気突入の数値シミュレーションをした.このシミュレーションにより、どのような軌道で大気に突入して来る宇宙塵がどのような温度を経験するかがわかった.この結果から,太陽系星雲の情報を保っている始源的な宇宙塵を探査するときの指標が与えられると考えられる.
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