研究概要 |
独自に開発した3次元培養装置を応用して,羊膜上に臍帯静脈内皮細胞を培養し,動脈を仮想したupper wellとlower wellを有する培養系を定期的に作成している.臍帯静脈内皮細胞がconfluentとなったことを銀染色によって確認した.また,あらかじめ用意しておいたヒト抹消血から超遠心によって分離したLDL,およびヒト単球/マクロファージをupper wellで混合培養すると,ヒトの動脈硬化病変の前駆病変と考えられているfatty streak様の病態を羊膜結合組織内に作成することができる. このような病変は,現在のところ,naitive LDLが何らかの形で酸化するが必要と考えられており,各種の抗酸化薬が開発されている.そこで,upper wellの混合培養中にprobucol(Merrel Dow Pharmaceuticals),α tocopherol およびβ caroteneを加えることで,fatty streak様の病変の抑制が可能かどうかを実験した.三種の薬剤ともに正常コントロールに比べ,fatty streak様の病変の抑制を示した.なかでも,probucolの抑制効果がもっとも大きかった.しかし,濃度によって臍帯静脈内皮細胞に対する toxic untowardeffect が認められることがあり,これが薬剤そのものによるものか,あるいは溶剤として使用しているアルコールに依存したものかを,現在新たに開発された水溶性のprobucol(Merrel Dow Pharmaceuticals)を用いて,検討中である.更に,現在抗泡沫化作用の注目されているACAT阻害剤についても同時に検討中である.
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