TGF-βは、TGF-βとLAP(latency associated peptide)とが非共有結合し、さらに潜在型TGF-β結合蛋白がLAPとS-S結合した潜在型として分泌されるため、作用を発現するにはTGF-βが潜在型TGF-β複合体から遊離する活性化のステップが必須である。我々は、潜在型TGF-βがLAPを介して細胞膜に結合すること、そのことが潜在型TGF-βの活性化に重要であることを明らかにした。そこで、潜在型TGF-βの細胞膜への結合を競合阻害することを目的に5種類のLAPフラグメントを合成し、潜在型TGF-βの細胞膜結合に及ぼす効果を検討したところ、2つの合成ペプチドは結合には影響しなかったが、LAP分子の中央部位に対応する3つの合成ペプチドはいずれも潜在型TGF-βの細胞膜結合を10倍以上増強すること、その効果は平滑筋細胞だけでなく内皮細胞でも同様であることが確認された。さらに、これら3つの合成ペプチドは、潜在型TGF-βの細胞膜結合を増強することで活性化をも促進することが確認された。
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