研究概要 |
1 マルチメディアソフト制作の基礎となるデジタル技術に関して、過去の導入の際に知的財産法上論争された諸点、すなわち、プログラムの保護、データベースの保護、デジタル録音・録画の報酬請求権、リバースエンジニアリングの可否、ヴイジュアル・インターフェースの保護に関する文献を収集、整理した。また、アメリカおよびEUにおけるマルチメディアソフトとデジタル化をめぐる論文,報告書を収集し、検討した。 2 とりわけ、平成6年7月に公表されたアメリカ政府の情報基盤整備専門委員会(IITF)のグリーンペーパー「知的財産と情報ハイウエイ」を詳しく検討した。そこからは、アメリカではデジタル化の知的財産法への影響は比較的軽徴と見られていることがうかがわれる。しかし、わが国におけるハードメーカー、ソフトハウス、印刷会社、出版社、権利社等からのヒアリングでは、とりわけ、著作者人格権との緊張関係が強く意識されていることが明らかになった。 3 わが国における著作者人格権と一般人格権との関係を検討する前提として、わが国とアメリカ、ドイツおにける著作者人格権関連の文献のデータベースを作成した。 4 平成7年度の研究への準備作業として、ネットワークを利用した著作物およびデータ利用の際に生じるであろう知的財産法上およびプライバシー(一般人格権の一種)保護上の論点を抽出する作業を行った。 5 以上の理論的検討と併行して、インターネット利用によるテキストおよびグラフィックデータの入手、マックおよびウィンドウズを利用したデータ改変、部分利用の実態について体感する作業を行っている。
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