1 デジタル通信によるマルチメディアソフトのオンライン供給のもたらす知的財産法上の問題点について、アメリカ政府の情報基礎タスクフォース知的所有権作業部会の報告書「知的財産と全米情報基盤」、EU委員会のグリーンペ-パ-「情報化社会における著作権および関連権」、わが国の著作権審議会マルチメディア小委員会第一次報告書、民間11団体の提言「デジタル化・ネットワーク化に対応した知的財産権の在り方について」を詳しく検討した。アメリカにおける「送信権」、EUにおける「使用権」、民間11団体による「拡布権」、文化庁の手当不要論など、それぞれ適切な法的枠組を模作しながら方向が異なっていることが明らかになった。 2 インターネットの利用に伴う著作権保護の問題について重点的に検討を行い、95年11月に開催された第4回コンピュータ・ソフトウエアの法的保護に関する国際シンポジウムにおいて、ホームページのリンクに伴う著作権法上の論点について問題提起を行った。 3 デザイン、写真、美術の著作物について、京都府中小企業総合センターと協力してデジタル化に伴う問題点を検討した。 4 ネットワークを利用した著作物およびデータ利用の際に生じるプライバシー(一般人格権の一種)保護上の問題点を、EUの「個人データ処理に関する個人の保護及び個人データの自由移動に関する閣僚理事会及び欧州議会指令」を手掛かりに検討した。 5 以上の理論的検討と併行して、研究室内に4ポートのハブからなるイーサネットによるLANを構築し、通信および情報の共有の実際を体験した。
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