本研究は、活性汚泥等水処理生物に対する油分の影響を調べ、その阻害因子について探るとともに、油分除去に効果があるとされる界面活性剤のサポニンを添加して、その効果をみた。この結果より、今年度は、サポニン添加による油分の除去機構について、動力学的解析と油分成分の変性機構について明らかにすることを目的として各種の基礎実験を試みた。また、油分除去の実用化についての現状を探り、油分に対する水処理システムの今後のあり方について検討した。サポニンを添加することにより生物処理を強化する研究の一貫として取り上げたものである。サポニンを数ppm添加することにより酸素供給能を増し、生物活性が増大することは既に明らかにしているが、サポニンの本来の役目である界面活性剤としての油分の乳化(エマルジョン)を進め、さらに生物活性の増大をねらったものである。油分に関わる諸問題は極最近、大きく取り上げられるようになり、各種の対策が示されてきている。その中を大きく分けると、油水分離装置の効率化、生物反応槽への微生物製剤の投入、それとサポニン等の添加剤の投入とになる。本研究の主要部となるサポニンの添加は、活性汚泥中の微生物の活性を高めることと油分除去の両方の役目をもたらすことから大きな有為性があるものと考え、前年度の研究結果を踏まえて、装置化のための動力学解析を行っており、一定の成果が得られつつあり、その成果は発表している。しかし、まとめの段階で油分分解菌の測定に手間取り、時間を費やしている。さらなる成果を求めて研究継続中でもある。
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