本年度は、補剛材取付け部とガセット取付け部の実物大のディテ-ルをもつプレートガーダー試験体の製作、コンピュータシミュレーションによる変動荷重波形の作製、交流ポテンシャル法による亀裂自動検出システムとパーソナルコンピュータによる変動荷重制御とを組み合わせた疲労試験機の長期自動制御運転システムの構築を完了し、それらを用いた超長寿命疲労実験、および試験体の3次元モデルを用いた疲労亀裂進展解析を実施した。これまでに得られた主な成果は以下のとおりである。 (1)垂直補剛材取付け部をもつプレートガーダー試験体では、疲労亀裂は、垂直補剛材下端部のウェブ側の溶接止端、ウェブと下フランジを接合する縦方向溶接と垂直補剛材を取付ける横方向溶接の交差部の溶接止端、ウェブと下フランジを接合する縦方向すみ肉溶接部内のブロ-ホール、垂直補剛材上端部のウェブ側と上フランジ側の溶接止端、および上フランジ上面の載荷板の前面すみ肉溶接部で発生した。下フランジ側で生じた亀裂は進展し、下フランジを破断させている。一方、上フランジ側に生じた亀裂は溶接部内で進展が停止し、停留亀裂となった。 (2)垂直補剛材取付け部の疲労強度は、継手部の破断寿命を基準とすれば、止端仕上げしたすみ肉溶接継手に適用される日本鋼構造協会疲労設計指針のD等級を全て満たす。ブロ-ホールから疲労亀裂が生じた縦方向すみ肉溶接部の疲労強度は、同指針のC等級を十分に満たしている。
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