本年度は、プレートガーダーのウェブ貫通部やアタッチメント取付け部を対象とした疲労実験、道路橋の疲労照査に用いる設計活荷重および鉄道橋の疲労寿命評価法に関する解析を実施した。得られた主な成果は以下のとおりである。 (1)ウェブ貫通部を持つプレートガーダーでは、疲労亀裂は貫通フランジ縁端部のウェブ側のすみ肉溶接止端から発生し、主応力に対してほぼ直角方向に進展する。ウェブ貫通部の疲労強度は、曲げ引張り応力でみれば鉄道構造物等設計標準のG等級程度であるが、せん断応力の影響を考慮した主応力で評価すればF等級を十分満足する。 (2)あて板型フランジアタッチメント取付け部では、前面すみ肉溶接部にルート亀裂が発生、最終的にはトウ亀裂と合体しフランジが破断する。また、疲労限は鋼構造協会の疲労設計指針で長さ300mm以下のカバープレート取付け部に適用されるF等級を満たしていない。 (3)道路交通荷重のシミュレーション解析により、一車線同時載荷係数については交通条件に関わりなくスパンのみの一次関数として設定することができること、二車線同時載荷係数については交通条件およびスパンに関わらず一定値に設定できること、また、二車線同時載荷係数の低減係数ついては交通条件に依存せず荷重分配係数比のみの放物線関数で表せることが明らかとなった。 (4)電車型荷重によって鉄道橋部材に生じる変動応力に対し、設計標準で規定されている打切り限界を用いて線形累積被害則による寿命評価を行った場合には、特に実用上重要な低応力域において疲労被害を30%以上過小評価するケースがあることが示された。
|