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1994 年度 実績報告書

極海域におけるハプト藻の食作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 06839005
研究機関筑波大学

研究代表者

井上 勲  筑波大学, 生物科学系, 助教授 (70168433)

研究分担者 河地 正伸  筑波大学, 海洋バイオテクノロジー研究所, 研究員 (80311322)
キーワードハプト藻 / 黄金色藻 / ハプトネマ / 食作用 / 鞭毛藻 / 極域 / ビデオ
研究概要

第35次南極観測の期間中に,14種20株の鞭毛藻および鞭毛虫の培養株を確立した.また,日本近海(ベーリング海,港湾域を含む)からも10種のハプト藻を分離培養した.これらの培養株を用いて以下の実験を行った.まずえさ粒子としてラテックス性蛍光ビーズとFITC-labelled-dextranを用いた取り込み実験を行い,各培養株の食作用能力の有無を調査した.その結果,ハプト藻のなかで,Chrysochromulina属に属する種類はほとんどのものが食作用を行うことが確認された.これまでこの属のごく一部の種で食作用が確認されていたが,本研究によって食作用がChrysochromulina属の一般的性質の一つであることが明らかになった.これまで多くの種で食作用が確認されなかったことは,これらの食作用が一部の種のように活発ではなく,効率が悪いことによっている.食作用の様式は,われわれがこれまでChrysochromulina hirtaやC.spiniferaで明らかにしてきたようなハプトネマや細胞表面の鱗片によるものではなく,細胞から細長い管が生じ,その先端でえさを補足し細胞内に取り込むというものであった.この方式では一度に1個のえさ粒子を捕獲することしかできず,ハプトネマや鱗片で大量のえさ粒子を補足して集塊として細胞内に取り込むという既知の様式と比べると著しく効率が悪いものであった.食作用のメカニズムの詳細を明らかにするべく,このような粒子捕獲の過程をビデオが像として記録し,解析している.以上のハプト藻のほかにも,黄金色藻に所属する海産鞭毛藻を培養しており,食作用能が存在することを確認した.本研究によって食作用は海産鞭毛藻類にきわめて一般的にみられる性質であることが明瞭になった.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Fujiwara,S.,Kawachi,M.,Inouye,I.and Someya,J.: "The gene for ribosomal protein L27 is located on the plastid rather than the nuclear genome of the chlorophyll c-containing alga Pleurochrysis carterae" Plant Molecular Biology. 24. 253-257 (1994)

  • [文献書誌] Kawachi,M.and Inouye,I: "Ca^<2+>-mediated induction of the coiling of the haptonema in Chrysochromulina hirta(Prymnesiophyta=Haptophyta)." Phycologia. 33. 53-57 (1994)

  • [文献書誌] Kawachi,M.and Inouye,I.: "Observations on the flagellar apparatus of a coccolithophorid,Cruciplacolithus neohelis(Prymnesiophyceae)." J.Plant Res.107. 23-62 (1994)

  • [文献書誌] Fujiwara,Sawada,Someya,Minaka,Kawachi,and Inouye,I.: "Molecular phylogenetic analysis of rbcL in the Prymnesiophyta." J.Phycol.30. 863-871 (1994)

  • [文献書誌] Kawachi,M.and Inouye,I.: "Functional roles of the haptonema and the spine scales in the feeding process of Chrysochromulina spinifera(Fournier) Pienaar et Norris(Haptophyta=Prymnesiophyta)." Phycologia. 34(in press). (1995)

  • [文献書誌] Honda,D.,Kwachi,M.,Inouyue,I.: "Sulcochrysis biplastida gen.et sp.nov.(Chrysophyta):cell structure and absolute configuration of the flagellar apparatus." Phycological Research. 43(in press). (1994)

  • [文献書誌] Inouye,I.and Kawachi,M: "In The Haptophyte Algae.(Eds.J.C.Green and B.S.C.Leadbeater).Oxford University Press,Oxford,73-89(分担執筆)." The haptonema., (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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