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1994 年度 実績報告書

原始的深海性棘皮動物有柄ウミユリ類トリノアシ骨片形成遺伝子に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 06839011
研究機関東京大学

研究代表者

雨宮 昭南  東京大学, 理学部, 助教授 (30011670)

研究分担者 東中川 徹  三菱化学生命科学研究所, 先端研究部, 部長(研究職)
キーワード炭酸カルシウム骨格 / 骨片形成遺伝子 / SM50 / ウミユリ / トリノアシ
研究概要

棘皮動物を特徴づける系統学上の特性の一つは、中胚葉性の炭酸カルシウム骨格を作ることである。系統発生学上、その祖先型から棘皮動物が進化するに至った道すじを調べるには、棘皮動物に固有の特性について、その発現に関与する遺伝子の探索と、発現様式の解明が不可欠である。6網からなる棘皮動物のうち、最も原始的な形質を残している有柄ウミユリ類は、棘皮動物の系統発生学上の「かなめ」に位置する動物である。トリノアシの体制は、植物のユリに似て茎部と冠部からなる。消化器官、生殖器官、運動器官の全ては冠部に集中し、その冠部は、大量の炭酸カルシウム骨格によって形成されている。私は、トリノアシ飼育個体を用いて、冠部の全てを実験的に除去した場合、茎部のみから炭酸カルシウム骨格からなる冠部を再生し得ることを発見した。この実験は、きわめて再現性良く、且つ、容易に行なう事が出来るので、再生過程における骨片形成遺伝子などの遺伝子発現の解析にとって、理想的な系と考えられる。さらに私は、従来その存在が不明であったトリノアシ配偶子を発見し、精子DNAの抽出に成功している。これらの発見を基礎として、冠部再生過程における骨片形成遺伝子の発現様式をしらべるために、まず、トリノアシ精子DNAを用い、ウニ類の骨片形成たんぱく質をコードする遺伝子SM-50をプローブ及びプライマーとして、トリノアシにおけるSM-50の相同遺伝子を探索した。その結果、PCR法により、ゆるい条件下では、ウニ類SM-50遺伝子のプライマーと反応する遺伝子がトリノアシDNA中に発見された。さらに、サザンハイブリダイゼーションにより、トリノアシゲノム中に保存されている部分は、ウニ類SM-50のエクソンのrepeating regionである事が明らかになった。このウニ類SM-50のrepeating regionをプローブとして、トリノアシ精子DNAから作製した遺伝子ライブラリーにより、5つのクローンが得られ、その塩基配列の決定を行なっている。トリノアシより得られる、ウニ類SM-50の相同遺伝子を用い、再生過程におけるその発現を調べる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kajihara,K.: "A spicule matrix protein gene of the Crinoidea Metacrinus rotundus" Zoological Science. 11suppl.37-37 (1994)

  • [文献書誌] Tsushima,M.: "Comparative biochemical studies of carotenoids in seaurchins-III." Comp.Biochem.Physiol.(in press).

  • [文献書誌] Amemiya,S.: "First fossil record,of the family Phormosomatidae(Echinothurioida:Echinoidea) from the early Miocene" Zoological Science. 11. 313-317 (1994)

  • [文献書誌] 雨宮昭南: "ウニ胚動物半球の分化能における可塑性" 遺伝. 48. 61-67 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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