マボヤ精子フコシダーゼcDNAのクローン化のために、ヒト、ラット、粘菌α-L-フコシダーゼよりコンセンサス配列を推測し、PCR用プライマーを作製した。10月から定期的に東北大学浅虫臨海実験所のマボヤの生殖巣の発達を調べた結果、11月下旬に精巣の発達がおこることがわかったので、11月下旬の精子発達期精巣より抽出したRNAをテンプレートとして逆転写酵素を用いてcDNAを合成したのち作成したプライマーによりPCRを行った。得られたPCR産物の塩基配列を決定したところ、ラットα-L-フコシダーゼと52%の相同性が見られた。このようにして得たクローンを発現ベクターと連結したのち大腸菌内でβ-ガラクトシダーゼとの融合蛋白質として発現させ、この蛋白質に対するポリクローナル抗体を得た。この抗体を用いて粗マボヤ精子α-L-フコシダーゼ抽出液とウェスタンブロットを行なったところ、33kDaの蛋白質が反応した。既にマボヤ精子抽出物のゲルろ過と活性測定の実験からマボヤα-L-フコシダーゼは約30kDaと考えられているので、クローン化した遺伝子は卵と精子の結合に関わるホヤ精子α-L-フコシダーゼcDNAである可能性が考えられる。さらに全長cDNAをクローニングが進行中である。
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