研究概要 |
1.まず、以前から続けてきたコネクショニストモデルの言語習得との関わりに関する理論的研究をすすめた。その成果は、Foong-Ha Yap(UCLA)との共同研究として、論文がIssues in Applied Linguisticsに掲載された。また、以前から続けてきた英語における動詞形態素の習得と内在アスペクトとの研究の総まとめの論文をRoger Andersen(UCLA)との共著(第一著者は白井)でLanguageに投稿。現在、「一部手直しすれば出版を認める」、という段階で、修正中。 2.本研究の中心部分となる、英語習得データの分析については、UCLA応用言語学科の大学院生David Palmquistを研究補助員として雇い、幼児言語データの分析をすすめている。Davidには、英語のnative speakerとして、過去形、進行形のobligatory contextを決定してもらっている。並行して白井が動詞の内在アスペクトの分類を行っているが、データの量が膨大なため、まだcodingは終了しておらず、十分な定量的分析をするまでにいたっていない。ただ、暫定的にわかったことは、規則動詞、不規則動詞ともに、過去形が必要な状況(past obligatory context)において、状態動詞のほうが非状態動詞よりも、過去形態素をつけ損なっている確率が高い、ということであり、これは仮説を支持している。今後、コネクショニストモデルとの関係で、規則動詞と不規則動詞にこの点における差異があるかどうかを定量的分析をすすめていく予定。 3.The Norwegian Computing Centre for the Humanitiesより、Brown,LOB,London-Lundなどの英語コーパスを収録してあるCD-ROMと、その統計的分析をするためのWordCruncherというソフトを購入。現在、動詞の過去形の頻度に書き言葉と話し言葉の違いがあるかどうかを調査中。
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