研究概要 |
研究計画に書いたように、まず、V.V.Nikulin:Involutions of integral quadratic forms and their applications to real algebraic geometry,Math.USSR Izv,22(1984)を読解して我々の場合の分類結果を書き下す作業に取り組んだ。この論文は、記号定義の部分が長く煩雑で、所々、あまり一般に知られていない概念の知識も仮定しており、大変苦労したが、我々の場合である、条件がS=(20^^<02>)、θ=-1の場合に限定して書き下せば、現れてくる不変量は案外単純で理解しやすいものであることが判明してきた。しかし結局、最終部分で理解しにくい不変量が現れ、そこで行き詰まってしまった。(論文のp.115以降の部分)この部分までの中間経過について、3月7日、京都大学数理解析研究所短期共同研究「実特異点の幾何学的様相」で報告した。一方、RP^1×RP^1上のbidegree(4,4)の実代数曲線の“camp lex orientation"に関して、4^^→なる型の場合に、2種類のcomplex orientationの存在が予想されるような、4^^→現象が観察された。この予想を証明すること、そして、その2種類のcomplex orientationはV.V.Nikulinの論文の中で定義されている、どの不変量によって識別できるものなのか、それを知るためにも、上に述べた分類結果の書き下し作業を完結すべきである。また、8月29日から9月1日、大沼で行われた「特異点論研究集会」では、名古屋工業大学の福井敏純氏が実トーリック曲線上の実代数曲線に関する研究発表を行っていたが、この研究にも、Nikulin理論を適用することができるだろう。また、鹿児島大学理学部の大本亨氏からは、complex orientationの研究方法についての助言を受けた。
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