研究概要 |
視覚障害者(疾病や事故による中途失明者)が晴眼者の介添えなしでも日本語処理が行えるヒューマンインタフェースの実現のため,読み書きの感覚代行として機能する日本語インタフェースの研究を行った.はじめに,視覚障害者によるオンライン手書き入力時の被験者分析より,視覚障害者が安定して文字入力を行える為の条件として1.文字枠のサイズは7〜10cm程度,2.記入範囲を認識しやすいように文字枠に段差形状を持たせるようにすること等が必要であることが分かった.これらの結果を基に,視覚障害者に有効な手書き入力タブレットの設計および試作を行った.次に,オンライン手書き入力インタフェースをコミュニケーションエイドとして機能させるために必要な基礎データを得ることを目的として,音声合成装置を利用した逐次音声支援による感覚代行技術と,先に開発した視覚障害者の変形手書き文字にも対応可能な認識アルゴリズムを用いて視覚障害者援用インタフェースのプロトタイプを構築した.試作機の評価実験により,画面情報を視覚障害者に音声で伝達するには,各操作の終了段階で逐次音声支援を行う方が良いこと,利用者からのアクション(専用のハンドコントローラ装置によるキ-操作)に応じて必要な情報を優先して得られるようにしておくこと,応答のレスポンスを早くしておくこと(認識に時間が掛かり音声による反応が遅れると不安感を生じやすい)などの条件を満足することが必要であることが分かった.
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