研究概要 |
本研究では,ロボットマニピュレータに高速で高機能な動きを実現させるために,ロバスト速度ベクトル制御法と知的ネットワークに基づいてモーション制御を行う多関節冗長ロボットマニピュレータの製作実現とその有効性の検証を目指している.以下に,本研究で得られた成果を示す. 1.ロバスト速度ベクトル制御法の開発: ロボットマニピュレータは,各関節におけるアクチュエータに印加される外乱(摩擦力,干渉力,重力,負荷トルクなど)による影響や制御対象のパラメータ変動による影響を非常に受けやすい.この両者の問題を同時に考慮し,ロバスト制御を実現する方法として,本研究ではH∞制御理論の混合感度問題を適用する.これより設計した補償器K(s)を用いて,先ず加速度コントローラを構成し,積分器2個のカスケード結合部分を配置転換することで,制御構造が簡単で且つ加速度コントローラの応答性能が保たれるロバスト速度ベクトル制御法のH∞速度制御系が構成できる.このH∞速度制御系を多関節ロボットマニピュレータに適用し,位置と力のハイブリッド制御を行ってその有効性を実験によって検証した.この成果は,1994年に,国際会議のIEEE/IES INTERNATIONAL WORKSHOP ON ADVANCED MOTION CONTROLとIEEE/IES IECON'94に,そして日本機械学会ROBOMEC'94講演会に,1995年に,電気学会産業計測制御研究会に,それぞれ発表し,良い評価を得た. 2.多関節冗長ロボットマニピュレータの製作実現とその制御系の開発: 冗長マニピュレータは余分な自由度を有するため障害物回避,特異点回避など様々な動作を行わせることができる反面,関節やアクチュエータの数が多くなることから機械的に複雑となる.そのためロバストなモーションコントロールを行うには簡単な制御アルゴリズムが望まれる.本研究では,冗長マニピュレータを製作し,これに知的ネットワークとH∞速度制御系を適用した.非冗長ロボットに対して有効性を既に立証しているH∞速度コントロールを,知的ネットワークと結びつけて,簡単に冗長マニピュレータのモーションコントローラを行っている.その成果は,1994年の電気関係学会関西支部連合大会と電気学会東京支部新潟支所研究発表会に,それぞれ発表し,良い評価を得た.
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