研究概要 |
本研究は、新たに開発する総合的可視化技術を用いてグラニュール内の細菌相構造を明らかにしようとするものであり、次のような研究成果が得られた。 1.グラニュールの元素構成及び細菌相構造を可視化する分析技術を確立できた。 ミクロトームを用いてグラニュールを2-5μm薄く切って、位相差/蛍光顕微鏡でグラニュールの全体構造を観察し、またメタン生成菌特有の補酵素F420とF350の発光特性を利用してメタン生成菌の分布を可視化することができた。また、SEMとTEMを用いてグラニュールの各層における細菌の形態を観察し、グラニュール内部における細菌群の分布を解明する。こうした顕微鏡技術を総合利用してグラニュール内の細菌相構造を可視化できる分析技術を開発することに成功した。 2.ビール工場排水を処理するグラニュールのマイクロ構造を明らかにした。 ビール工場排水を処理するグラニュールを解析した結果、同グラニュールのマイクロ構造は三つの層に分けることができる。表層は主に酸生成細菌、中間層は共生コロニーとMethanothrix,中心部分は主に酢酸資化性メタン生成細菌であるMethanothrixによってそれぞれ構成されている。この微生物の棲み分け現象は糖類排水のメタン発酵における中間代謝産物の蓄積、グラニュール内部への物質移動及び食物連鎖によって説明できる。
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