エポキシ樹脂は耐水性、耐薬品性、電気絶縁性等の特徴を有し、半導体分野における封止材として多用されている現状にあるが、このエポキシ樹脂の成型品においてその均一性に問題が生じる場合があり、同樹脂の品質管理の面から問題が指摘されている。そこで、本研究ではエポキシ樹脂の成型プロセス中における、撹拌による樹脂中への充填材粒子の分散過程および分散状態の影響について着目し、これらが成形樹脂の品質に多大の影響を及ぼすものと考え、工学的理論に基づき数値シミュレーションにより、樹脂および固体粒子の流動状態や分散状態について定量的に求め、表示する方法を確立することを目的として行った。 研究の第一歩として、まず樹脂成形固液撹拌槽内における固液流動の数値シミュレーション手法の確立を行った。その結果、当初の計画通りの数値シミュレーション手法及び手順により、板型翼撹拌槽内における液相の流動状態として連続の式、運動方程式、流動モデル式を連立させて差分法によって離散化し、圧力速度同時過緩和法を用いて槽内の三次元速度分布を得、ついで、任意の粒径、密度を有する固体粒子を粒子濃度に応じた個数分、液相の三次元速度分布中に発生させ、粒子の運動方程式により複数の粒子の挙動の解析を行い、撹拌槽内の粒子の分散状態を求めることができた。ついで、撹拌槽内の充填材粒子分散状態の数値計算結果の妥当性を検証する可視化実験装置を作製し、可視化実験により本数値シミュレーション手法の妥当性を確認した。 さらに今後、本研究で確立した数値シミュレーション手法を用いて、固体粒子濃度や翼回転数等の操作条件を変化させ、槽内における流動状態や粒子分散状態等を求め、この数値シミュレーションによる解析結果に基づき、粒子の分散状態を定量的に数値化し、表示する手法の研究へと拡張・応用して生きたい。
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