研究概要 |
我々は,ラット肝臓可溶性画分から種々のカラムを使用し,24Kのリゾホスホリパーゼ及び60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼをそれぞれ510倍及び20万倍に精製し,すでに均一な標品を得た。両酵素ともホスファチジン酸により活性が阻害されることが判明したが,60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼはより著明に阻害され,Kiは10uMであった。また,24Kのリゾホスホリパーゼの抗体を得たところ,60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼとは交叉しなかった。我々はさらに,24Kのリゾホスホリパーゼの抗体を使用し,λgt11cDNAライブラリーをスクリーニングし,本酵素のcDNAクローニングを行ないアミノ酸の全配列を得た。この配列は精製した酵素より決定したアミノ酸の部分配列と同一の配列を含んでおり,また,新しい配列であることも確認された。 また,我々は,ブタ胃粘膜よりも,免疫学的及びホスファチジル酸への感受性の異なる22K及び23Kのリゾホスホリパーゼを精製した。23Kブタ胃粘膜リゾホスホリパーゼは23Kのラット肝臓リゾホスホリパーゼと交叉したが,23Kブタ胃粘膜リゾホスホリパーゼはラット肝臓リゾホスホリパーゼのどちらの酵素とも交叉しなかった。これらのことはリゾホスホリパーゼの多様性を示しており,それら酵素が精密に調節されていることを示唆すると思われる。
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