全身性硬化症患者では、食道固有筋層あるいは腎血管病変の内膜や中膜にIgMの沈着が観察されることから、IgMクラスの抗血管内皮抗体あるいは抗平滑筋抗体が存在することを推測し、患者血清からIgMの分離、精製を試み上記抗体の存在の有無を免疫組織学的に検討した。 MCTD3例を含む患者6例および健常者の血清からpolyethylene glycolを用いIgMを含む蛋白成分を沈殿させ、さらにその沈殿物からsephadexG-200カラムでIgMを含む分画を得た。さらに採取された分画をビオチン化し、ヒト正常腎、食道組織を染色した。 2例の患者血清から得られたビオチン化サンプルが、小葉間動脈レベルの腎内動脈の中膜平滑筋、食道の粘膜筋板や固有筋層に反応し、それぞれの患者血清中に平滑筋と反応するIgMクラスの抗体が存在する可能性が示された。なお、ビオチン化サンプル中にはIgM以外の蛋白成分も含まれており、今回組織切片上平滑筋細胞に反応していたものがIgMと断言はできないが、少なくとも健常者から得られたサンプルでは陽性所見が得られないことから、患者血清中に平滑筋細胞に反応する蛋白おそらくIgMが存在するものと考えられる。今後、これがIgMであることの証明および病原性を有するか否かの検討が必要と考える。
|