1.讃岐方言の解析 留学生へのインタヴューから讃岐方言が多く使用されていると思われる教師(以下方言教師)の授業中の発話を約30分間録音し、以下の3点についてその他2名の教師(数学、制御工学)の発話との比較的解析を行った: (1)方言語彙の品詞別頻度 名詞、動詞、形容詞、形容動詞などについては、3者間にほとんど有意差が見られなかった。ところが接続詞(「ほんで」、「ほやったら」、等)、助詞(「〜やきん」「〜やけど」等)、及び助動詞(「〜やろ」等)の頻度においては非常に大きな違いが見られた。 (2)マクロ文構造 単文・重文・複文、受け身、完了・進行相、などの出現頻度には3者間に有意な違いは観察されなかった。 (3)音声的解析 (i)ストレス・・・方言教師は、方言語彙以外の語の内、ほとんどの語を讃岐方言のストレスで発音していた (例「する」、「わかる」、等)。 (ii)イントネーション・・・肯定、否定、疑問、などの文において、3者間に際だった違いは見られなかった。 (iii)発話速度・・・方言教師の発話は全体的に他の2名の教師のそれより約1.2倍の速さであり、特に上記(1)の品詞が頻繁に現れる文頭、及び文尾になると速くなる傾向を示した。 2.讃岐方言の聴解困難さの要因検定実験 上記の分析から、讃岐方言の聴解困難さの要因として(1)方言語彙、(2)ストレス、(3)速度、の3つを仮定し、外国人留学生1名に対して予備調査、インタビューを行った。これに基づく本実験は来年度に実施する予定である。
|