1.20Å分解能での外皮殻構造の決定 以前までに得られていたX線回折データを用いて自己回転関数を計算し、二重殻の外皮構造に関してその対称性を決定した。それによるとイネ萎縮病ウィルス(RDV)は、一般的な球状ウィルスの正二十面体構造は保持しているものの、外側の殻と内側の殻ではその方向が異っていた。このずれはウィルス球殻が二重構造を持つため、その外皮蛋白質サブユニットのアミノ酸残基が立体障害を持たないように合理的に充填されたためであると考えられた。 2.正二十面体構造を構成するサブユニットの立体配置の決定 殻を作るサブユニットの立体配置を明かにした。まずサブユニット形状の初期の近似として均一な電子密度を持つ球体を非対称単位に配置し、非結晶学的分子置換平均法を用いて、構造解析を始めた。分解能25Åからはじめて約20サイクルずつ0.6Å間隔で分解能を上げ、現在106サイクル、22.4Å分解能であり、R値は35.2%である。これより得られた電子密度図よりT=9(外殻球面上に540個のサブユニットが配置される)対称の存在が明らかとなった。サブユニットの会合様式あるいは形態を明らかにするためには、さらに分解能をあげる必要があり、現在進めている。 3.10Å分解能でのX線回折データ処理 今まで得られていた回折データについて、さらに10Å分解能まで処理を行った。プログラムDENZOを用い、各イメージングプレートごとにモザイク幅を見積もって処理を行い、Nativeデータとした。そのときのR値は16%、データの完全度は50%であった。この完全度では上記2の精密化を行うには不十分であるため、さらに別のデータセットの処理を引き続いて行っている。
|