WMAP衛星の3年目のデータが発表されたのを受け、本年度はまずこのデータの解析を中心として、研究を遂行した。具体的には、コズミックバリアンスの影響の少ない小角度スケールのデータと宇宙の大域的構造のデータを併用することによって、初期ゆらぎのスペクトルの形状をマルコフチェイン・モンテカルロ法によって推定すると共に、ニュートリノ質量に対する宇宙論的な制限について解析した。その結果、スペクトル指数のスケール依存性を勘案すると、ニュートリノ質量により厳しい制限が得られることが明らかになった。 また、宇宙背景放射の温度揺らぎの観測データから、CPT不変性の破れに関する制限が得られることを示した。
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