HVPE成長した窒化アルミニウム上へAlGaNを用いた紫外線発光ダイオードを作製するために、今年度は以下に示すことを行った。 1.クラックフリーAlNのHVPE成長 大きな圧縮歪を有するサファイア基板上AlNテンプレートを基板に利用して、AlNのHVPE成長を行ったところ、クラックがなく、平坦な表面を有するAlNを得ることに成功した。これは結晶成長中に発生する引っ張り歪が基板の圧縮歪によって打ち消されたものと考えられる。今後、このような基板を用いることで、高品質のAlGaN及び高性能な紫外線LEDが実現できるものと期待できる。 2.MOVPE法によるAlGaNの成長条件の検討とAlGaN/AlN量子井戸構造の作製 紫外線LEDの作製にはAlGaN/AlN量子井戸構造が必要である。量子井戸構造を作製する前に、AlGaNの結晶成長条件の詳細な検討を行ったところ、成長温度一定の条件化ではAlの流量が少なくても、結晶中にAlが良く取り込まれることと成長温度の上昇と共にAlNモル分率が多くなることが明らかになった。さらに、AlGaN/AlNの量子井戸構造を作製したところ、成長条件を詳細に検討することで、AlGaN/AlNの急峻な界面が得られ、強い紫外線発光が得られた。さらにSiをドープすることで、界面の急峻性や発光強度が改善されることが明らかになった。 これらの知見を基に今後は、HVPE成長したクラックフリーのAlN基板にAlGaN/AlN量子井戸構造を有する紫外線発光ダイオード構造を作製することを検討している。
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