研究課題/領域番号 |
06F06131
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
塩嵜 忠 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授
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研究分担者 |
PING-HUA Xiang 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 無鉛材料 / サーミスタ / PTC / チタバリ / コアシェル / コーティング |
研究概要 |
研究課題にあるPTCRとはPositive Temperature Coefficient of Resistivity(抵抗の正温度係数)の略で、温度上昇に伴い、ある温度で急激に電気抵抗が上昇する現象であり、半導体化させたチタン酸バリウム系セラミックスに生じる現象である。この特性を利用して外部に制御回路を必要としないインテリジェントなヒータとして応用されている。現用のヒータ素子材料であるチタバリ系半導体セラミックスの原料中には鉛が含まれており、またその鉛はヒータ動作温度を高くするためには不可欠とされている。研究者らは環境問題の観点から鉛を使用しない無鉛チタバリ系半導体セラミックスの開発を試み、最近PTCR特性を示す新規材料Ba_<1-x>(Bi_<1/2>Na_<1/2>)_xTiO_3(BBNT)を見出した。本研究ではBBNTセラミックス焼結前の粉体の個々の粒子にコーティングを行うことで、コアシェル構造を形成させ、さらにそのコアシェル構造を有する粉体を用いてセラミックスを作製、評価を行った。まず、単成分であるBaTiO_3(BT)ならびに(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3(BNT)粉末を固相反応法により合成し、両粉末を混合し、焼結を行った結果、セラミックス粒子はコアシェル構造を形成せず、BBNT単一相からなることが分かった。そのため、BNTゾルゲル溶液を作製後、BT粉末にコーティングすることにした。その結果、焼成前の粉末粒子がBT粒子にBNTがコーティングされているもの(コアシェル構造)からなることを電子顕微鏡観察にて確認できた。このコアシェル粉末を焼結したところ、粒子内は均一化しBBNT単一相からなることが分かった。誘電率温度特性からその現は通常のセラミックス作製法によるBBNTセラミックスと同じであり、セラミックス内のコアシェル構造が消失していると考えられる。今後、焼結温度、時間、雰囲気等の作製条件の検討が必要であることがわかった。本研究と同時にPTC現象の解明を目指すべく、BBNT半導体セラミックスの導電特性について検討した。これまで、粒子内部でスイッチング温度Ts付近から抵抗異常が生じ、Tsより高温では抵抗が低くなることを明らかにしている。
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