研究課題
高水素貯蔵密度を有する錯体水素化物やペロブスカイト水素化物を合成し、それらの結晶構造や化学結合状態などを評価した。得られた成果は以下の通りである。1.Mg系錯体水素化物Mg(BH_4)_2を液相でのメタセシス反応(NaBH_4とMgCl_2との陽イオン交換反応)により合成した。沈殿物はNaClのみであり、溶液を真空脱気して得られる白色粉末は結晶性の良いMg(BH_4)_2である。この試料の結晶構造や化学結合状態などを詳細に調べた。2.Liに加えて他の金属(陽イオン)を同時に含む錯体水素化物MLi_<m-n>(BH_)_m(M=Zn(n=2),Al(n=3),Zr(n=4);n【less than or equal】を固相でのメタセシス反応(LiBH_4とM塩化物とのミリング処理)により合成した。MがZnとAlの場合では、昇温過程でM(BH_4)_nとLiBH_4への分解反応が進行した。一方、MがZrの場合では、組成比mの減少に伴い脱水素化温度が連続的に低下する現象がみられ、適切な陽イオンを組合せることにより錯体水素化物の脱水素化温度が劇御できることが判明した。3.(Li_xNa_<1-x>)Mg系水素化物を各二元水素化物のミリング処理により合成した。x=0ではペロブスカイト構造を有するNaMgH_3が生成し、また中間組成であるx=0.5ではペロブスカイト構造を保った状態でLiによるNaの部分置換が可能となる。一方、x=1.0ではペロブスカイト構造が確認できなかった。これらの結果は、Goldschmidt許容因子やPauling第一法則などを考慮した構成イオンの幾何学的配置条件からテイサン案されるペロブスカイト構造生成領域とよく一致する。
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Physical Review B 74
ページ: 045126-1-045126-9
Materials Transactions 47
ページ: 1898-1901
Proceedings of 2006 MRS Fall Meeting (Nov. 27-Dec. 1, 2006, Boston, USA) (印刷中)
Journal of Alloys and Compounds (印刷中)