研究概要 |
マグネシウム合金AZ31を加工温度を高温から順次降下させながら連続的に多軸鍛造を施し,その過程で起こる微細粒組織と集合組織の形成過程を調査した.最適な組織制御のための加工熱処理条件を求めること,並びに加工誘起微細粒組織の形成機構を検討する実験研究を開始し,来日後この約半年の研究期間中に,次の諸結果を得た. 1.降温中多軸鍛造の繰返しによって生じる結晶粒組織では,その平均結晶粒径は高ひずみでは加工ひずみの影響を殆ど受けないこと,その平均結晶粒径は加工温度の低下に伴い減少すること,等を明らかにした.これまでの実験では0.2μm程度の超微細粒組織の生成に成功した. 2.微細新粒は初期結晶粒内をキンクバンドが微細分割することによって生成し,加工ひずみと共に初期結晶粒界付近から中心部へと微細粒組織が広がり,高ひずみではある一定の大きさを有する安定結晶粒組織が生成することを明らかにした. 3.底面{0001}が圧縮方向に並行する強い初期集合組織は,圧縮変形と共に回転を起し,高ひずみでは底面が圧縮方向に垂直となるよう回転するが,その過程は3段階に分類された.すなわち,1.結晶回転が圧縮ひずみに比例して生じる初期段階(0<ε<0.4),2.回転角度が約70度で停滞する第2段階(0.4<ε<1),3.その後約80度まで回転が進み再び停滞する第3段階(1<ε),である.
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