本研究ではヘビとトカゲ類の系統関係を解析するにあたり、そのゲノムにおけるSINEに関して解析をおこなった。SINEとはゲノム中に散在する短い反復配列であり、その有無を様々な種の相同遺伝子座間で比較することにより、信頼性の非常に高い系統樹の再構築が可能であることが知られている。 本研究ではヘビ・トカゲ類のゲノム中に広く分布する新規のSINEを発見し、Sauria SINEsと名づけた。Sauria SINEsは約350塩基の長さで、tRNA相同領域、tRNA非相同領域、および3'末端領域から成る構造をしていた。さらにその3'末端領域はBov-B LINEと呼ばれる他の転移因子に由来することも明らかにした。このSauria SINEのサブファミリーの進化に関して詳細に解析し、その結果を論文として2006年のJournal of Molecular Evolution誌に発表した。 今年度はオオトカゲとクサリヘビにおいてさらなる解析をおこない、Sauria SINEの新規サブファミリーを発見し、それらがどのようは経緯で進化してきたかを明らかにした。これらはこのSINEの進化ばかりでなくヘビ・トカゲ類の系統関係を解明する上で重要なデータとなる。さらに最近ではこのSINEがヘビゲノムからウイルスに水平伝播した証拠も発見し、現在それに関しても論文を投稿中である。
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