研究概要 |
中国四川省産生薬のラット小腸α-グルコシダーゼ阻害活性スクリーニングの結果、マルターゼに対して高い活性のみられたキク科植物物Tussilago farfara花について活性成分の単離同定を行った。50%メタノール抽出物の水可溶区を疎水性樹脂カラムに供し、得られた活性画分を逆相HPLCで精製して活性成分として3,4-、3,5-、および4,5-ジカフェオイルキナ酸を単離同定した。それぞれのラット小腸マルターゼに対するIC_<50>値は、順に0.91mM、0.90mM、0.89mMだった。関連化合物の構造と活性について検討した結果、キナ酸骨格に結合するコーヒー酸残基数の多いほど活性が高いことがわかった。また、これらの化合物はラット小腸スクラーゼ、イソマルターゼ、ブタ膵臓アミラーゼに対する活性はほとんど示さなかった。同様にスクリーニング実験でスクラーゼに対して活性のみられたキツネノマゴ科植物Adhatoda vasica葉について活性成分の単離同定を行った。50%メタノール抽出物を疎水性樹脂、逆相ODS、ゲルろ過カラムで順に精製し、活性成分として二種のアルカロイドvasicineおよびvasicinolを得た。それぞれのラット小腸スクラーゼに対するIC_<50>値は0.13mMおよび0.25mMであった。これらの化合物のスクラーゼに対する阻害様式は拮抗阻害であり、K_i値はそれぞれ82μMおよび183μMであった。また両者はラット小腸マルターゼ、イソマルターゼおよびブタ膵臓アミラーゼには活性を示さなかった。以上の結果、Tussilago farfara花およびAdhatoda vasica葉は抗糖尿病作用生薬として有望であることが示された。
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