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2006 年度 実績報告書

魚種による塩分耐性(狭塩性と広塩性)の違いは何に起因するのか

研究課題

研究課題/領域番号 06F06213
研究機関東京大学

研究代表者

金子 豊二  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授

研究分担者 LEE K.  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
キーワード浸透圧調節 / 塩類細胞 / レプト / 水飲み / 直腸 / 共焦点レーザースキャン顕微鏡 / na^+,K^+-ATPase / デキストラン
研究概要

コイ科魚類に代表される淡水魚は、海水環境に適応することができない。また、サケ科類やウナギなどの回遊性魚類は、その生活史の中で海と川を往来し、広範囲の塩分環境に適応するメカニズムを備えている。このような塩分耐性の許容範囲に応じて魚は狭塩性と広塩性に大別されるが、両者の区別は必ずしも明確ではなく、その中間的な性質を示す魚類も多い。本研究では、「魚種による塩分耐性の違いが何に起因するのか」という根元的な命題に取り組んた。ウナギは広塩性の体表的な魚として浸透圧調節に関する研究が盛んに行われているが、ウナギの仔魚レプトケファルスの浸透圧に関してはあまり知られてない。そこで、まずレプトの浸透圧調節の検討を行った。レプトの場合、採血が困難で普通の方法では浸透圧を測れない。そこで、まずレプトの浸透圧測定方法を確立した。腸液が入らないように腸の部分を避けて体の一部をパラフィルムに乗せ、ろ紙に体液をしみこませて浸透圧を測定した。その結果、レプトの浸透圧は約440mOsm/kg、天然しらすは約407mOsm/kgの値を示した。レプトの体液浸透圧は成魚の海水ウナギ(324mOsm/kg)より高い値を示したが、レプトも浸透圧を調節し生理的な範囲内に維持することが確認された。また、Na^+,K^+-ATPaseのイオン輸送タンパク質に特異的な抗体を用いた免疫組織化学的手法により、塩類細胞の局在を調べた。その結果、レプトの体表には多数の塩類細胞が存在することが明らかになった。レプトで鰐は未発達だが、体表の塩類細胞からイオン排出することで、レプトは浸透圧を調節すると考えられる。さらに、海産魚は海水を飲んで脱水される水を補うことからレプトの水飲みを検討した。蛍光マーカーでラベルしたデキストランを溶かした海水にレプトを入れた。6時間後に共焦点レーザースキャン顕微鏡づで腸を観察した結果、腸で蛍光が観察され、直腸では濃縮された強い蛍光が見られた。レプトの腸は消化・吸収ばかりでなく、浸透圧調節器官として水を直腸から吸収することが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Prolactin and prolactin receptor expressions in a marine teleost, pufferfish Takifugu Rubripes2006

    • 著者名/発表者名
      Lee, K.M.
    • 雑誌名

      Gen. Comp. Endocrinol. 146

      ページ: 318-328

  • [雑誌論文] Cloning of rainbow trout SLC26 A1 : involvement in renal sulfate secretion2006

    • 著者名/発表者名
      Katoh, F.
    • 雑誌名

      Am. J. Physiol. 290

      ページ: R1468-R1478

  • [雑誌論文] Prolactin gene expression and gill chloride cell activity in fugu Takifugu rubripes exposed to a hypoosmotic environment2006

    • 著者名/発表者名
      Lee, K.M.
    • 雑誌名

      Gen. Comp. Endocrinol. 149

      ページ: 285-293

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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